膵臓がんに向かう途上で確認されることの多い画像所見に関するQ&A/ IPMNが膵臓がんになる確率、期間?
Q

IPMNが膵臓がんになる確率、期間を教えてください。

A
IPMNが現時点で3㎝を超える大きいものである場合には、現時点で膵臓がんの出現に十分な注意が必要です。
一方でIPMNが小さく、膵管にも異常が無い場合には、「膵臓がん(すい臓がん)」になるのは極めて低い確率であるとの見方が一般的です(確率は0ではありません)。
このような見方でガイドラインが設定されています。
出典
IPMNに関する詳細は以下のページを参照してください。
分枝型IPMNの診療アルゴリズム2017
    膵臓がんとIPMNとの関係について以下のように考えられています。 膵臓がんを発症した方の画像にはその多くでIPMNが発見されます。膵臓がんは遺伝子変異後10年~15年後に発症しますので、IPMNは膵臓がんの遺伝子変異が生じていることを示している可能性があります。 IPMNはそれ自体が癌化する場合と周囲が癌化する場合があります。 IPMNはそのすべてが癌化するという訳ではありません。 IPMN、全体としてはサイズの大きいものは膵臓がんの罹患リスクが高く、小さいものは罹患リスクが低いのですが、IPMNサイズが小さいので大丈夫とは言い切れず、IPMNが小さくても膵臓がんを発症する場合があります。
  1. IPMNが初めて発見された場合には
      次の経過観察期間は短めの6か月後で設定し、画像上大きな変化が無いことを確認する。
      膵萎縮(特に限局性の萎縮)、膵管拡張は必ず確認をしておいた方が良いので、MRI検査か造影剤を用いたCT検査にて膵萎縮膵管拡張の評価を必ず行ってください。
(内容)
IPMNに関する詳細は以下のページを参照してください。
https://www.m-satellite.jp/suizou_hp/checklist/suinouhou.html

解説01IPMNの3つの分類

IPMNは膵管とのかかわりで以下の3つに分類されます

    主膵管型IPMN…主膵管にIPMNが発生するもの
  1. 主膵管が拡張している場合を言います。IPMN自体のがん化リスクに加え、膵液が通る主膵管の交通が遮断されてしまうことで、がん化するリスクが加わる為、分枝膵管型に比べ、がん化のリスクは高いと考えられています。 主膵管径が10mmを超える拡張の場合には、がん化の有無に係わらず、外科手術が勧められている病院が多い存在します。

  2. 分枝膵管型IPMN…分枝膵管にIPMNが発生するもの
  3. 分枝型IPMNとは主膵管と交通する分枝にIPMNが出来ているもので、分枝膵管が拡張している場合を言います。

  4. [分枝膵管型IPMNの膵臓癌化の割合について]
      年率わずか2~3%とのHP記載があります。
    1. 参考URL)膵管内乳頭粘液性腫瘍(IPMN)|一般社団法人 日本肝胆膵外科学会 (jshbps.jp)作成:2021年9月9日
    2. 5年間観察した結果、3.3%のIPMNががん化したという報告があります。
    3. 参考URL)gastroenterology2020 Long-term Risk of Malignancy in Branch-Duct Intraductal Papillary Mucinous Neoplasms
    4. Stage0の膵臓がん7例のうちの57.1%、浸潤径2㎝未満の小膵癌20例のうち80%は辺縁に占拠する癌であったとの報告があり、分枝膵管型の方が好発するという結果の論文も存在します。
    5. 参考URL)安川覚、柳沢昭夫:膵管がんの病理学的発育進展仮定、膵臓30:418-418、2015
  5. 混合型IPMN…主膵管と分枝膵管の両方にIPMNが発生するもの
  6. 分枝型IPMNと主膵管型IPMNに両方が存在するIPMNです。
  7. 安川覚、柳沢昭夫:膵管がんの病理学的発育進展仮定、膵臓30:418-418、2015
    [腫瘍の主たる占拠部位と主膵管への浸潤]
  8. Stage0の膵臓がん 辺縁型57.1%(4/7例)、主膵管型42.9%(3/7例)
    2㎝以下の小膵癌  辺縁型80.0%(16/20例)、主膵管型20.0%(4/20例)
    うち主膵管への浸潤 辺縁型87.5%(14/16例)、主膵管型100.0%(4/4例)
    上記の結果、Stage0の膵臓がんの段階では辺縁型の方が多いが、その後の進展は主膵管に向かっていくものが多く、2㎝以下の膵臓がんでは18/20例は主膵管に浸潤していた。 膵臓がんの早期発見の為には、分枝膵管型のIPMNも注視すべきではないかと考えています。
参考URL)膵管内乳頭粘液性腫瘍(IPMN)|一般社団法人 日本肝胆膵外科学会 (jshbps.jp) 作成:2021年9月9日
参考文献)gastroenterology2020 Long-term Risk of Malignancy in Branch-Duct Intraductal Papillary Mucinous Neoplasms

解説02

IPMNの画像所見

以下のような画像所見ががん化の可能性が高いと考えられているものです。

当院の診断体制をご紹介します
  • 経過観察で悪化しているか診断
    「MRI/CT等の画像検査で膵臓がんに向かう途上で確認されることの多い画像所見」があります。 当該所見は膵臓がんの発症が近づくと悪化することがわかっていますので、経過観察時に行った検査画像を元にその差を診断することが非常に重要です。
  • スコアリングシート
    診断プロセスは画像診断報告書に記載されており、過去の診断書と見比べることで当該画像所見の推移がわかりますが、これをよりわかりやすくするため、膵臓スコアリングシートを作成しています。 膵臓がんを早期発見するための取組み
  • 全12病院の医師が診察
    膵臓疾患を専門とするAIC八重洲クリニック常勤医と12病院の膵臓外来(膵臓臨床医師)と膵臓ドック 結果説明外来(放射線科医師) を設置しています。 各医師が、当院にて診療を担当します。

    AIC八重洲クリニック(東京都日本橋)

    AIC八重洲クリニック①公益財団法人がん研究会 有明病院③東京女子医科大学病院⑥東邦大学医療センター大橋病院⑦順天堂大学医学部附属順天堂医院⑧聖路加国際病院⑨慶應義塾大学病院⑩東京医科大学病院⑪帝京大学医学部附属病院⑫東京医科歯科大学病院

    八重洲クリニック(東京都日本橋)

    ③東京女子医科大学病院④東京都立駒込病院⑤東京大学医学部附属病院

    AIC画像検査センター(茨城県つくば市)

    ❷筑波大学附属病院
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当サイト監修
Seishi Sawano, MD, PhD
澤野 誠志 放射線診断専門医
AIC八重洲クリニック 理事長 院長 / 
AIC画像検査センター 理事長
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