02 当院における膵臓がんの診療
膵臓がんを早期診断するために「01膵臓がんの画像上の危険因子」の状態、その変化を丁寧に見ています。
第1:当院MRI/CT検査における膵臓がんの見つけ方
膵臓がんは発病する前に、画像上に様々な危険因子が出現することがわかっています。
当院では早期発見を目指し、下記の診断体制を整えています。
第1段階 膵臓がん危険度の判断
画像検査で発見された画像上の危険因子を「単独」かつ「複合的」に見ていくことで、膵臓がんの危険度を判断します。

画像上の危険因子とは?
膵臓がんの画像上の危険因子とは、MRI・CT・エコーなどの画像検査を行った際に発見された膵臓がんの発生や進行の原因となる要素をいいます。 主な膵臓がんの画像上の危険因子は、次の4つが挙げられます。実際に検査で発見された事例とともにご紹介いたします。
「単独」かつ「複合的」に見るとは?
単独で見る… 画像上の危険因子自体の程度、経時的な変化で危険度を判断します。
複合的に見る… 画像上の危険因子が複数近接している場合、1つ1つの程度、経時的な変化だけでなく、近接所見が複数存在していることで危険度が高いと判断します。
第2段階 膵臓がんの画像所見を丁寧に探します 第1段階要注意の場合
検査で発見した画像上の危険因子を調査していきます。
膵臓がんの危険度が高い場合には、膵臓がんを見つけるべく、細心の注意で膵臓がんの画像を探していきます。
(注意)一般的な膵臓がんは乏血性の為、造影画像が明らかな高信号を呈しません。その為、膵臓がんを見逃さないように上記の第1段階、第2段階という思考過程が非常に重要になります。
第3段階 経過観察期間を短く設定したり、検査内容を変更して膵臓がんを探します
第1段階要注意の場合 かつ 第2段階膵臓がんが見つからない場合
膵臓がんが発見されなくても画像上の危険度が高いと判断される場合、膵臓がんの早期診断を目指し以下の提案を行っています。
以下のどちらかを提案します。
1. 再検査を推奨
・単純検査の場合:造影検査の推奨またはEUS推奨
・造影検査の場合:MRIの場合CT、CTの場合MRI造影の推奨またはEUS推奨
2. 次の経過観察期間を短く設定(1年後ないし2年後ではなく、3~6か月後という短期に設定)
第2:他の医療機関と当院の「01膵臓がんの画像上の危険因子」の見方の違い
当院では、膵臓がんの存在確認の検査(EUS等)を推奨する精度向上のため、検査で発見した画像上の危険因子を当院独自の基準で設定し、「単独」かつ「複合的」に見ています。
検査で発見できる膵臓がんの画像上の危険因子は下記になります。
膵臓がんの画像上の主な危険因子は下記があり、01および02-1が一般的な経過観察となる所見です。
当院では上記に加えて 02-2、03、04の所見についても経過を注視していきます。これにより、経過観察中の細かな変化を見逃さず、早期発見が望めます。
画像上の危険因子の違い
画像上の危険因子 | 他病院の診療基準 | 当院における膵臓がんの診療 |
---|---|---|
1 /膵嚢胞(IPMNを含む) | ● | ● |
2-1 /膵管及び分岐膵管の拡張 | ● | ● |
2-2 /膵管及び分岐膵管の狭窄、途絶 | ● | |
3 /膵の限局的萎縮、くびれ | ● | |
4 /膵石灰化(慢性膵炎、膵石) | ● |
病院で一般的に行う診療基準では経過観察対象とならない画像上の危険因子が発見された場合でも、当院では丁寧に経過観察を行っていきます。
適切な経過観察設定の例
第3:当院で実施している検査の内容
当院ではMRI、CT、超音波(エコー)を使用し膵臓がんを診断しています。
各検査の内容と診断基準については、こちらのページをご覧ください。
第4:膵臓がんの確定診断はどのように行うか?
膵臓がんの確定診断は、病変の一部を採取し病理診断を行います。当該病理診断は膵臓がんの手術を行っている以下の病院で行うことが出来ます。
当院で検査を受診された方で膵臓がんの存在が強く疑われる場合は、以下の病院への紹介を行っております。
東京都
東京都 | 病院名 | 治療実績 | ||
---|---|---|---|---|
合計件数 | 手術あり | 手術なし | ||
1 | 国立研究開発法人 国立がん研究センター中央病院 | 913 | 469 | 444 |
2 | 公益財団法人がん研究会 有明病院 | 820 | 488 | 332 |
3 | 東京医科大学病院 | 466 | 196 | 270 |
4 | 東京都立駒込病院 | 431 | 166 | 265 |
5 | 順天堂大学医学部附属順天堂医院 | 423 | 202 | 221 |
6 | 東京女子医科大学病院 | 381 | 145 | 236 |
7 | 東京大学医学部附属病院 | 377 | 146 | 231 |
8 | 日本赤十字社医療センター | 306 | 71 | 235 |
9 | 国際医療福祉大学三田病院 | 294 | 92 | 202 |
10 | 帝京大学医学部附属病院 | 277 | 117 | 160 |
12 | 虎の門病院医師ネットワーク | 245 | 124 | 121 |
13 | NTT東日本関東病院 | 236 | 96 | 140 |
15 | 慶應義塾大学病院 | 229 | 119 | 110 |
16 | 東京医科歯科大学医学部附属病院 | 226 | 101 | 125 |
22 | 日本医科大学付属病院 | 173 | 90 | 83 |
32 | 東京逓信病院 | 115 | 46 | 69 |
52 | JCHO東京新宿メディカルセンター | 66 | 13 | 53 |
60 | 荏原病院 | 44 | - | 44 |
76 | JCHO 東京高輪病院 | 32 | 11 | 21 |
茨城県
茨城県 | 病院名 | 治療実績 | ||
---|---|---|---|---|
合計件数 | 手術あり | 手術なし | ||
1 | 筑波大学附属病院 | 215 | 115 | 100 |
2 | 総合病院土浦協同病院 | 175 | 105 | 70 |
3 | 茨城県立中央病院 | 164 | 70 | 94 |
4 | 株式会社日立製作所日立総合病院 | 127 | 55 | 72 |
5 | 独立行政法人国立病院機構水戸医療センター | 111 | 30 | 81 |
(出典:caloo「膵臓、脾臓の腫瘍」より)
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画像検査(MRI・CT・エコーなど)を行うことで、現在の病状がすぐに対処すべき重篤なものであるか否かを、正確に把握することを目的とした外来です。
症状が無く、膵臓の状態を知りたい方は、膵臓がん、肝臓がん、胆のう胆管がんの精査を中心に、腹部の異常が無いかチェックできる検査をおすすめします。